ジプシーの仁義???(バチカン市国)
- 2015.05.31 Sunday
- 15:08
「とにかく イタリアでは、すりに気をつけてくださいね。
気をつけていてもやられますよ。ジプシーには要注意です」
と旅行前から 厳重な注意を受けていた。
旅の初日、バチカン市国へ向かう道で
とうとう本物に、悪名高きジプシーに遭遇した。
想像していたのは もっとこわもてのジプシーだった。
が、実物は、・・・。
彼らは、なんとも弱々しい小柄な老女たちだった。
しかし、彼女たち その見かけとは裏腹に 鉄の心臓。
通路で 観光客を 待ち伏せしている。
列を組んで歩く我々の間に 割り込んでくる。
グループの人たちは 皆一様に 知らん顔して通り過ぎる。
私など 如実にいやそうな顔をしていたと思うのだが・・・
彼らは ひるむ様子も無く どんどん近づいてくる。
「彼らに近づかれないように ほら、そこ、手をたたいていいですよ」
とガイドさんのアドバイスで 触られそうになった一人は、
その手を振り払い 事なきを得て そこを通過。
それ以上 彼らはついてこなかったので
彼らの傍若無人ぶりに恐れをなして 呆然としてしまった私は、
心底 ほっとした。
バチカン市国見学の時間は、1時間ほどだった。
帰り道、時刻は お昼を過ぎていた。
また同じところを通らないと観光バスに戻れない。
ということは、ジプシーがまた待ち構えているあの場所を
通らないといけない・・・と思うと 怖かった。
が、なんと!ジプシーさんたち、影も形も無かった。
ガイドさんが 道に転がっている水のボトルを指し示しながら
「ほら、見てごらんなさい。ペットボトルが道の端においてあるでしょう?
彼らがさっき居た場所に 置いてあるでしょう?彼らもお昼休みを取っている
んですよ。あのペットボトルは 彼らのテリトリーだってことを知らしめるために
置いてあるんですよ」
へーー、そうだったのかあ。
ジプシーさんも シエスタ(お昼休み)を取るんだねえ!
と、私は 思わず笑った。
そのときは、彼らが居なかったことで 大いに安心し、
知っている限りで 物乞いがシエスタなどという優雅な休み時間を取るとは
まったく考えられず、そのことばかりに気をとられていた。
彼らがなぜ深追いしてこなかったのか?今ならその理由が解る。
彼らには 彼らのお仕事(すり)をする縄張りが決まっていて
そこから出てはいけないというような決まりがあるに違いない。
後から考えると もっと深い意味がそこにはあったわけで・・・。
恐るべし、ジプシーさんの仁義。
(続く)↓
http://americajijo.jugem.jp/?eid=943