ワイン作りとお料理
- 2014.08.14 Thursday
- 03:46
そして、掘っ立て小屋と思っていたそのドアを開けて中に入る。
そこが、ワイン倉だった。急に薄暗くなり 外の暑さとは段違いの
ひんやりとした空気に体を包まれる。そこには、ワインの入った樽が
所狭しと積み上げられている。空調はワインに適した温度に
セッティングされている。まるで違うその外観と中身のギャップに
びっくりさせられる。
「ワイン作りはお料理と同じなの」
とワイナリーの奥さん。そして、その言葉の意味は、
その後、ワインテースティングをしながら、だんだんに分ることに・・・。
「これは今年作っているワインなの。カバネスービニオンよ。
ここからにおいをかいでみて」
と一番近くにある樽の上のキャップを取って自ら匂いをかいでから、
私たちにもにおいをかぐようにいう。
その芳醇なにおいを嗅がせてもらうと、確かにカバネスービニオンの
匂いがしている。
「これから二年寝かせるの。ワインを樽に仕込んでからボトルに
つめるまでに三年かかるのよ」
と彼女。
そして、一人に二つのグラスが与えられて 二種類ずつ
飲み比べながらのテイスティングが始まる。
ジンファンデールからはじまり、メルロー、キャバネフランク、
キャバネスービニオンと進んでいく。一緒にソーセージを食べながら
飲むように言われる。たんぱく質を口に入れるとワインの味が変わる。
赤ワインにはチーズや肉などが合うということをあらためて実感。
「ワインは、たとえば、七十五パーセントキャバネ
スービニオンでないと カバネスービニオンというラベルを
つけられないの。残りの二十五パーセントは別の種類のワインを
混ぜて 味に変化を持たせるんだけど、一つの種類が七十五パーセント
入っていないとラベルに表示できないの。もし違反すると
罰金を科せられて、すべてのボトルのラベルをはがさないと
いけないのよ。七十五パーセントを一種類でつめていないものは
ただのレッドワインと表示されるの」
と、奥さん。
「どうやって中身に何が入っているのかわかるの?」
と、訊ねると
「今はね。機械なの。正確に成分が測れる機械があるの。」
との答え。
へエーー、びっくりだ。ボトル一本の中身は、百パーセント
同じ味の同じワインと思っていたけど、違うんだ。
数種類のブドウを混ぜて複雑な味にするからお料理と
同じって言ったんだ。どんな風に混ぜるか?どんな味にするのか?
ワイン作りの腕の見せ所ということなんだ。面白い。
そして、次のテイスティングは、赤のテーブルワインだった。
それがグラスに注がれる。そして、
「この中に入っているワインの種類を当ててください。
今までテイスティングしたワインのうちの3種類を混ぜて作られていますよ」
と、彼女。
注がれた赤ワインを口に含んで 味わう。うーーん、この味は???
「キャバネフランク?メルロー?・・・もうひとつは、xxxx」
「当たり!」
なんと、的中。たまたま当てたのだけれど、ティスティングしながら
かなり飲んでいるので アルコールが回っているし
ちょっと有頂天になってしまう。
その後、最後のティスティングは、なんとデザートワイン。
デザートワインなんて甘いだけで おいしくないとそれまで
思っていた。はっきり言って馬鹿にしていた。
さらにそれが、あまり好きでないメルローだというので、
ますます期待値が下がる。
が、それは 素人の浅はかさだったことにすぐに
気づくことになるのだが。
一口目は、やはり甘いだけだった。
五年寝かしたというそれは まったりと甘い。
すると、彼女がチョコレートを出し
「これを食べてから飲んでみて」
という。言われたとおりチョコを食べ、またそのメルローを飲む。
すると、不思議なことが起こる。甘ったるいメルローは消えて
その代わりに五年という年を経た深みのあるワインが
口の中に広がる。その日、何度目のびっくりだろうか?
何の期待もしていなかったワインのなんとおいしいことか!
心をぎゅっとつかまれてしまう。大げさでなく未知との遭遇的驚愕だ。
ティスティングの後は、ショッピング。さすがにほろ酔いで
気分も高揚している。だからというわけでもないが、
テイスティングをしたすべての種類のワインを買うことに。
今回のワイナリーツアー、「目からうろこ」がいっぱいで
久しぶりに楽しい旅だった。
娘とも久しぶりに一緒に過ごせたし、
おいしいワインに出会うことができた。
ワインてやっぱり奥が深い。
仕入れた知識を元に 以前にも増してワインが楽しめそう。
それにしても、数種類のワインを混ぜ合わせて
自分好みのワインを作れるなんていいなあ。お料理みたい。
お料理ならやってみたいなあ。ワイナリーの仕事、面白そう。
畑仕事が苦手でも、できるだろうか?
・・・そんなに甘くないか!!