美魔女の厚化粧 その2
- 2012.06.30 Saturday
- 15:11
うちの近くの築40年以上の商業用地(モール)のリモデルが
半年以上の長い工事の末 もうすぐ出来上がる。
工事する前は、ぼろぼろで生き絶え絶えの老女のようだった
そのモールは、まるで 少女に逆戻りしたかのように生まれ変わった。
老朽化した建物には 新しいペンキが塗られ 屋根など一部は
改装され、植え込みやタイルや駐車スペースが 綺麗に整備されると
それまで 干からびて粉飾を失っていた古いモールが 魔法を掛けられた
かのように 新築同然の外観になり ピカピカと輝き始めた。
ところが、実際は 古いままの建物の上からペンキを塗っただけで
中身は築40年のまま。知り合いの日本食レストランの女将さんは
それはただの「ばばあの厚化粧」に過ぎないという。
確かに レストランの中は何も変わっていない。内側は 年老いた
老女のままである。
そのモールのリモデルであるが、工事中の店子の苦労はかなりのもので
被害者の女将さんの話は 仔細にわたっていた。
なかなか聞けないリモデルの裏話。女将さんの了解を得たので
ご紹介しよう。
長期にわたるリモデルは モールの持ち主の都合で始まった。
持ち主は、億の借金をして リモデル工事に着手。
女将さんの言い分によると「外見を新しくして モールの価値を
あげるのが 目的だ」という。
借金の返済保証として、銀行が地主に要求したのが、返済能力を
保障する店子のリースの確約書だった。
工事の終了後に 家賃を上げられては大変と、女将はサインを
渋って 最後まで抵抗したらしい。が、その書類提出を拒否する
店子は 即出て行くようにといわれ、しぶしぶサインしたという。
モールが新しくなれば もっとお客さんが増えるのだから
工事は店子のためでもあると地主は 大威張りだったらしい。
工事中の被害は なかなかのものだったようだ。
工事が進むとモールの街灯がなくなってしまい夜は真っ暗になった。
営業しているのかいないのか 工事中でがたがただし 真っ暗では
お客さんに営業しているのがわからなくて 入るはずのお客の数は激減。
駐車場は工事の車やら建築資材などでふさがれて 来てくれるお客さんの
駐車スペースがなくなり たいへん不便をした。
店の看板はいつの間にか工事業者によって廃棄処分にされたらしく
なくなってしまった。看板だって 私有物。それを勝手に捨てられたと
抗議したが 地主の反応はいまいち。仕方が無いので 自前の保険を
使って 保証金を払ってもらい新しい看板を作るのだとか。
あまりの問題の多さに そのモールの店子たちの一部は
サインをするという段階で 別の場所へ もっと確かな客足を求めて
次々とそのモールから 出て行ってしまった。
出て行くこともできずに ひたすら我慢したその日本食レストランの
ような店子たちは すこぶる迷惑をこうむった。
居残り組みの店子の中の一軒が いっそ家主を訴えようといったらしい。
女将さんもできるならそうしたかったが、
結局まとまらずに 断念したなどなど・・・。
女将さんの憤懣やるかたないという話を聞いて
なんとも アメリカならではの話だなあと思ったのだが
日本で こんなときはどうなるのだろう??