夫操縦法 アメリカ式

  • 2009.12.23 Wednesday
  • 04:06
アメリカ人女性のお客さんがお店にやってきた。
しばらくして、
「展示してあるバスタブに入ってみたいけどいいか?」
と聞く。
「どうぞご自由に。ぜひ、試してください」
というと、そのお客さんは早速靴を脱いで
バスタブの中に入り、中に座りこむ。
それにお湯を張って入ったとき、
たっぷりと自分の体が沈められるかどうかを確認。
その深さに満足し、そして
「いくらですか?」
と聞く。
やったー!!お客さん、ゲット。

われわれ日本人の常識では、
お風呂に入るということは
まず、洗い場で体を流し
たっぷりとお湯を張ったバスタブに肩まで浸かり
「あーー!!極楽、極楽」
と冷えた体を芯まで温め、一日の疲れを取る
ということだ。

ところが、アメリカではなかなかそれができない。

というのは、
アメリカのバスタブ(浴槽)は 
「長くて 浅い」というのが一般的だ。
お風呂にゆったり浸かるというような代物ではない。

が、アメリカに何年暮らそうが、
日本人としては、お風呂に入りたい。
特に寒くなってくると
お風呂に浸かるあの感覚は捨てがたい。
そこで、その思いっきり浅いバスタブにお湯を張り
「ああ、極楽、極楽!」を手に入れようと試みる。

が、たいていの場合は、
肩を沈めようと横になるような感じで平らに寝転がると
ひざ小僧がお湯から出てしまう。
ひどいときには どんなにお湯をためようとしても浅すぎて
おへその辺りがお湯から出てしまったりする。
おなかがぺったんこならそんなことはないかもしれない??が
沈もうと必死で横になっているのに
ちょっと(かなり?)出っ張り気味のおなかが
まん丸な島のようにお湯の海から出ている姿は
なんともかわいそう。悲劇といってもいい。

そんなわけで、アメリカではなかなか手に入れられない
深いお風呂だが、うちのお店には何種類かある。

「これに決めるわ」
というそのお客さんに、
「タンクレスウォーターヒーター(ガス給湯器)も
必要なのではないですか?」
と、いうと、
「うちの給湯器はタンクタイプで70ガロンなの。
このバスタブは60ガロンだからなんとかなるわ。
でも、きっとさめて冷たくなちゃうわね」
との答え。
「じゃあ、ぜひタンクレス給湯器も買ってください」
というと
「最初にバスタブを買うわ。
でも、きっとお湯が足りなくなると思うの。
絶対そうなるわ。そうしたら、
夫に『ハニー、タンクレス給湯器を買って』って頼むのよ。
まずは、バスタブ。
最初からバスタブとタンクレス給湯器の両方をおねだりしたら、
絶対に夫は『ノー』っていうわ。
だけど、バスタブだけなら大丈夫。
そして、『お湯が足りないから給湯器も買わなくちゃ』と
次におねだりするのよ。
これがアメリカンウェイよ。
最初にバスタブ、そしてタンクレス。ね!!」
という。
「頭いい!!賢い!」
と思わず賞賛の言葉が口にでる。

彼女が意気揚々と出て行った後、
「アメリカンウェイ」と言った彼女の作戦に
衝撃を受けてしまった私。なんとも上手な夫操縦術。

私もいつの間にかアメリカ生活14年半だ。
もうまともな日本人とはいいがたい(自覚症状あり)。
かくして日本人からは微妙にずれていくとしても
悲しいかな何年たってもアメリカ人にはなれない。
が、アメリカンウェイなる夫操縦術は 使えそう。
これは大いに見習わねば。
がんばるぞ!

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