11月4日の大統領選挙が終わり
「アメリカ初の黒人大統領が生まれた」
と、大興奮のアメリカ。
ニュースはその話題で持ちきりだ。
アメリカに住んでいるのだから、
選挙権はないけれどそのことについて 少し考えてみる。
ただし政治については何もわからないので
頓珍漢で野次馬的な今回の選挙戦のこぼれ話など・・・。
まずは、去年の予備選挙についてだが、
ヒラリークリントンとのオバマの選挙合戦は、
正直面白かった。
そこでヒラリーが選ばれれば、「女性初」
オバマなら「黒人初」。
初めて尽くしの対決だった。
途中、もう負けが決まったというのに
選挙戦を引き上げず
最後まであきらめなかったヒラリーの根性に
首をかしげたが、あれは
「どう転んでもアメリカは黒人を選ぶはずがない」
というヒラリー陣営の確信の賜物だったのか?
・・・ちょっと考えすぎなのだろうか?
結果は?
ヒラリーのがんばりにもかかわらず、
民主党は、女性より黒人を選んだ。
日本に比べると断然女性の能力を
認めている国ではあるが
まだまだ女性に対する風当たりは強いということなのだろうか。
「アメリカ=自由の国」という理想を掲げているが、
悲しいかな現実は、それとは桁違いにかけ離れている。
黒人差別も女性軽視も目に見えて存在する。
ということは、オバマが女だったら
政策以前に、問題外ということになったのだろうか?
そして、共和党からはマケインが大統領候補となり
本選が始まり、民主党と共和党の対決となったわけだが
これもなんだか不思議な展開となった。
ヒラリーを選ばなかった民主党の女性票を
獲得するためだったのだろうと想像するのだが、
マケインは、アラスカ州知事のペイリンを
副大統領候補とした。
結果、瞬間的に人気が上がり マケインが断然優勢といわれた。
またしても共和党政権の誕生か?
やっぱり黒人では大統領などにはなれないのだと
思わせた時期もあった。
が、面白いことに、しばらくするとこのペイリンを
選んだことでマケインは墓穴を掘ることになった。
討論会でのペイリンの受け答えがあまりにも幼稚で、
政治のド素人だと自ら暴露してしまった。
そこからまたオバマ風が吹き始めた。
うちの娘(13歳)でさえも
「マケインは年寄りすぎる。よぼよぼだから、
きっとすぐに心臓麻痺か何かで倒れて死んでしまうだろう。
そしたらペイリンが大統領になるんだよ。
あんなおばかなおばさんに大統領など務まらない」
と言わせてしまうほどだった。
きっと学校で友達とそんな話をしているのだろう。
彼らの親たちがテレビを見ながら話題にしているに違いない。
全くの受け売りだとしても、ティーンエイジャーたちも
大統領選挙に熱くなるのだという現実。面白い。
それを聞いて、
「なるほどなあ。そうだよね。副大統領候補ということは、
もしも大統領が亡くなったとしたら、即座に政権を担当するって
ことだから、しっかりしてもらわないと・・・」
と納得させられてしまった私である。
それと同時に不気味なうわさが飛び交っている。
「オバマが大統領などになったらすぐに
暗殺されてしまうに違いない」
とまことしやかにささやかれている。
事実、暗殺をもくろんだとして
白人至上主義の2人が逮捕された。
一月ほど前のことだったろうか、
彼らの暗殺計画は未遂に終わった。
ただのうわさだと思っていたが、
うわさだけではなかったのだ。
犯人が逮捕されてもなお信じられないというのが
本当のところだ。私もまだまだあまちゃんの
日本人なのかも知れない。
そして、数日前、
オバマは無事に大統領に選ばれてしまった。
そうすると今度は
「大統領になるまで生きているだろうか?」
という心配が頭をもたげる。
第2のケネディー、悲劇の大統領になるのだろうか?
何しろアメリカの人々は、気性が激しい。
それにしても、この21世紀に
「黒人の大統領は気に入らん!暗殺してしまえ」
なんてことを考えるというのもアメリカならでは
というべきか?
しかし、何でも起こってしまうのもアメリカである。
こんなむちゃくちゃは、日本では起こりえないと
断言できるが・・・。
そして、もしもここでオバマ暗殺などということが
起これば、アメリカは全世界に人種差別があることを
名実ともに証明してしまうことになる。
そんなことになれば、このたびのオバマ当選で
勇気と希望を与えられたと大喜びをしている
アフリカンアメリカンたちが黙っていないだろう。
ある友人は、
「そんなことになったら、黒人の暴動が起きるに違いない」
という。
「確かに!!」
と納得する。
私は、選挙権はないけれどオバマを応援していた。
単純な理由だ。
これ以上イラクにお金を使うべきではないと思うし、
それ以上に、「黒人は大統領になれない」という
アメリカの本音を覆せたら素敵だと思っていた。
ひそかに応援していたが、
オバマが勝つとは思っていなかった。
だから、彼の当選が決まったとき
「やっぱりオバマが勝った」
との思いと同時に
「何故オバマは勝てたのだろう?」
と不思議に思った。
アメリカがそれを許すとは思っていなかった。
そして、今、これを書きながら、
「アメリカは変わったな!」
とじわじわと感じている。
さて、世界の経済危機をオバマは救えるのだろうか?
お手並み拝見。楽しみだ。
蛇足であるが、
我が家のように細々と会社を
経営しているものは、オバマよりマケインに投票すべきらしい。
末娘が言うには、
「マケインはお金を持ってる人たちの財産を守って
くれるんだよ。中級以上の収入がある家は
オバマに投票したらだめなんだよ」
ということだそうである。
ちなみに彼女の学校では
大統領選挙の日に 生徒会の役員を決める選挙と同時に
大人に習って大統領を選ぶ選挙の模擬訓練をやった。
結果は?
なんと、マケインが当選したという。
では、その選挙で、彼女がどちらに投票したかと聞くと・・・
おじいちゃんのマケインは すぐに倒れて死んでしまい
その結果、ペイリンが政権を握ったら
アメリカは滅びてしまうと心配し、
一方、オバマが当選すれば
お金を取られてしまうのではないかと心配した彼女は、
どちらにも政権を任せる気にはなれず
投票拒否をしたという。
そして、
「投票しない人は、政治に文句を言ってはいけないんだってさ」
という。
なるほどね!!確かにそのとおり!!
アメリカの子供たちは、しっかりしているなあ!
こんな風に子供のときから
しっかりと自分の利益に敏感になり
判断する習慣をつけるのは いいことに違いない。
13歳に教えられることしきりの今回の大統領選挙だった。