一人飲み

  • 2019.05.15 Wednesday
  • 22:03

「孤独のグルメ」「一人飯」「個食」など一人の食事に関する造語があるが、

私の場合、「一人飲み」。

 

別に一人で飲んだり食べたりするのが好きというわけではない。

ただ、同行者がなく、一人で飲むしかないことだってある。

それだけのことだが、いくらおばさんになったとはいえ 

女の「一人飲み」は まだまだ少ないのかもしれない。

 

先日のこと、半年ぶりに 母の住む街にたどり着いた日、夕方 6時を過ぎていた。

 

離島から飛行機を乗り継いで 故郷の地方空港に着いたのは 夕方の5時前だった。

スーツケースを引きづってどうやって帰ろうかと考えているうちに、

気が付けば、タクシーを逃してしまった。

哀しいかな。小さな地方の空港には 客待ちのタクシーもそれほど多くない。

その時点で、タクシーを呼ぶより、JRの駅に行くシャトルバスに乗る方が 

手っ取り早いという結果になり おとなしくバスを待つことにした。

飛行機を降りてからバスが出るまで 40分の待ち時間は ちょっと長かった。

思いのほか肌寒く あたたかな南の島にしばらくいた私は 震えた。

 

最寄りの駅行きのオレンジ色で小っちゃくてかわいいシャトルバスに乗ることに。

母は、駅から歩いて5分ほどのところに住んでいる。

スーツケースが ちと邪魔だけど、駅から 歩けばいいのだから、

バスに乗ってみるのも一興と気を取り直す。

 

その日、バスの乗客は 4名だった。運賃500円。

お得だ!

 

40分後 駅に到着。

「何か少しおなかに入れるものがあるだろうか?」

と、宅配の夕食で一人暮らしを賄っている母に電話すると、

「何もない」

と 思った通りの返事だった、

「じゃあ、駅前で何か食べていくよ」

ということに。

 

幸い駅の周りには小さくて感じのいい居酒屋さんが幾つもある。

その中で最近開いたばかりの気になっていた一軒に入ることに。

なかなか賑わっている。

テーブル席とカウンター席がある。

 

「一人なんですが、いいですか?」

というとカウンター席に案内される。

その日は 運よく となりのカウンター席で飲んでいたそのお店の常連さんという

おじ様お二人連れ(途中三人になってまた二人になった)に

お話させていただいて 楽しく飲めた。

 

おばさんの一人飲みって 田舎の街ではきっとあんまりないに違いない。

ましてや 大き目のスーツケースを引きづってちょっと疲れた様子。

一体何者?と思われたに違いない。

 

どんなシチュエーションであろうと、「一人で飲む」ってやっぱりちょっと勇気がいる。

だから、私とて むやみに一人飲みはしない。

 

一人で飲めるようになったのは、いつからだろう?

 

そうそう、あれは 父が亡くなった後のこと。

カリフォルニアから一人で帰国したときだった。

その時、アメリカ暮らしを始めて15年が経っていた。

帰郷するのに 子供を連れないで帰ったのは、それ以前にも祖母が亡くなった時だけ。 

それは2度目の一人旅だった。

成田空港だった。

 

アメリカに帰る前に お寿司屋さんのカウンターへ。

飛行機が落ちたとしても悔いが残らぬようお寿司を食べておこう!

と、お寿司をつまみに 日本酒を飲んで ちっとばかし悲しい気持ちに活を入れて・・・。

という一人ひそかに涙しながらの一人飲みだった。

それに味を占めたのかもしれない。

 

ちょうどその頃の私は 子育ての最終章だった。

その後、子連れでなくアメリカと日本を行き来するようになり

日本からカリフォルニアに戻る日の成田のお寿司とちょっと一杯が定番に。

ささやかな主婦のプチ贅沢となった。

以来、時々 「一人飲み」を試みる。

 

もし、変なおばさんが 一人飲みをしていたら声をかけてくださいませ。

 

 

ふるさとの味 生シラスで一杯。

 

 

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