パーフェクトデイズ(perfect days)

  • 2024.02.27 Tuesday
  • 05:31

またまた映画を観に行った。

 

話題作「パーフェクトデイズ」

役所広司主演

去年(2023年)の第76回国際映画祭 男優賞獲得

そして、

もうすぐ(2024年3月10日)ロサンゼルスで行われる

第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされている。

 

ここでも 賞を獲得できるのか?

 

いつもは のほほんとしているうちに終わってしまう

アカデミー賞だが 今年は 忘れないように

授賞式を観なくては・・・。

 

それにしても、日本映画が 大きな映画館で

上映されるということ自体に 驚く。

「ゴジラ−1.0」↓もそうだったが

http://americajijo.jugem.jp/?eid=1429

(「ゴジラ−1.0を4DXで」)↑

ましてや こんな地味な映画が・・・。

 

注意)ちょっとネタバレするかも・・・

 

東京下町で一人暮らしをする男平山、

ボロ屋の一室、

日が昇り始めると、

隣の神社から聴こえてくる落ち葉を掃く音で

彼は目を覚ます。

閑散とした部屋、

余分なものはなにもない。

敷布団一枚、掛け布団一枚。

 

枕もとの文庫本と老眼鏡を片付け

ちゃっちゃと布団をたたむ。

小さな台所で 顔をを洗い、

鉢の植物に水をやる。

着替えをする。

 

家の前の時代物の自販機で 缶コーヒーを買う。

軽ワゴンに乗り カーカセットをセットし

音楽を聞きながら、仕事(公衆トイレの掃除)へ。

若い同僚が 現れ、それぞれに清掃の仕事。

仕事が終わり、

自転車で 銭湯の一番風呂へ。

その後、行きつけのちいさないっぱい飲み屋。

夜、文庫本を読み、寝る。

不思議な影の映像が 彼の夢を象徴する。

 

そして、また、夜が明ける・・・

箒の音で目が覚める。

毎日、毎日、同じ。

小さなことは起こるが

大まかなところは 同じ。

そんな毎日が 丁寧に何度も何度も描かれる。

 

前半 主役の平山は 一言も発しない。

若くていい加減な同僚に 話しかけられても 答えない。

文句がありそうな場面でも、何も言わない。

シャイなのか?

このまま 彼は何も喋らずに終わるのか?

と、思っていると

ある日、その同僚のガールフレンドが仕事場に現れる。

彼女の出現で 平山のルーティーンが ちょっと狂う。

 

さらに、同じ毎日と思われた彼の日常に

次の出来事が・・・

 

家出してきた姪っ子ニコが現れる。

ニコが現れると平山の全然違った一面が見えてくる。

姪っ子には優しいおじさんらしい。

へーー、この人、話せるんだ!と発見する。

 

などなど、後半は、彼の日常のルーティーンを

ちょっと歪めるようなちいさな出来事が 

次々と起こる。

それでも、彼の毎日のルーティーンは続く。

最後は、朝仕事に向かう車の中で

密かに微笑む彼の大写し・・・。

 

不思議な映画だ。

前半は、何も起こらない。

平山の一日は、同じように始まり

黙々と掃除をし 同じ毎日が、延々と続く。

彼は 何も喋らない。

平凡で何もないかに見える彼の毎日なのに

彼のあの冷静さはどこから来るのか?

ミステリアスで興味をそそる。

観ていられる。

 

彼の日常がパーフェクトデイズなら

もしかしたら 誰の毎日もパーフェクトデイズになりうる???

パーフェクトをあんまりパーフェクトにしちゃわないほうが

いいのかもね。

 

どうして、こんなセンセーショナルなことのない

静かで退屈とさえ思える映画が 

こんなにも話題になるのだろうか?

外国の人たちは、

木漏れ日の中の日本の侘び寂び??に興味がそそられる?

それとも、トイレ掃除という仕事を黙々とこなす主人公に

魅了されてしまうのだろうか?

 

ちなみに、ロスの毎日は とてもセンセーショナル。

カーチェイスや銃撃事件は かなりの日常。

映画館ではそれ以上のものでなくては 

刺激的とは言えなくなっている。

 

だから、ハリウッド映画の場合、

ドンパチ どんどん、がんがんがらがら、

ドッキューン!ガガッが−−−−!

とにかく派手なアクションと事件の数々。

悪を 痛快に解決するヒーローやヒロインが

喝采を浴びる・・・。

そこに、ロマンスが からんだり

宇宙人が出てきたり・・・。

 

それとは 真反対のこの映画

よくぞ 話題になったものだ。

 

というか、

地味だからこそ いいと思ってもらえるのかもしれない。

 

 

始まる前に役所さんと監督さんが画面からご挨拶↓

 

 

JUGEMテーマ:映画

ゴジラ−1.0を4DXで

  • 2024.02.03 Saturday
  • 05:25

昨日(2月1日2024年)のこと。

カリフォルニアらしくない雨降りの朝。

この分だと運動不足間違いなし!

と ウロウロと家の中を歩き回っていると・・・

 

友人からライン。

「雨だし 1時間半後、映画はいかが?

4DXという動くシートで

今話題の「ゴジラ−1.0」を観たら

迫力満点では?」

というお誘い。

 

一人では 絶対行かない映画館

「ゴジラ−1.0」という話題性。

ブログネタにもなるし・・・。

というわけで 即決。

 

場所は スペクトラム(我が家から車で15分ほど)。

 

前回の映画館行きは、

「ドライブ・マイ・カー」という日本映画。

場所は、アーバインの町中の映画館だったなあ

と思い出しながら・・・。

 

久しぶりに行くスペクトラムの映画館。

様子が変わっている。

周りに色々な店ができて 迷子になりそう。

 

心もとない思いをしながら 無事到着!

友達とも無事に合流。

 

人混みが嫌いなので、

閑散としていることについて

なんとも思わなかったけれど

「アメリカの人は 午前中に映画を観ないんだよ。

それもウィークデーの午前中なんて」

と友人。

 

言われてみれば、館内に人影はほとんど無い。

 

さらに、こんな大雨の日に 

カリフォルニアンは出かけないかもなあ

と、人手がない理由を足したりして・・・。

 

その映画館は 上映ルームが20室位ある

巨大なところで

我々のゴジラ上映は 15番という部屋だった。

 

多分普通に100名以上は収容できると思われるが

なんと、部屋には 誰もいない。

後から 2人来たが、

4人で一部屋を貸し切り状態

なんて贅沢!

 

番号を観ながら選んだ座席に収まる。

が、

我々以外の客はいないから

と真ん中一席に荷物を載せて。

 

4DXってどんな風になるんだろう??

とワクワク。

 

程なく、お決まりの上映予定映画の宣伝が 始まる。

 

すると、突然 ビリビリブー!

と椅子が振動。

 

えーー、まだ ゴジラじゃないのに

椅子が、動くの?

 

と、驚いていると

もっと激しい別の映画の予告編では

ガガガガー、ガタガタ!

と 椅子から落ちそうになる。

 

ゴジラが始まったら どんなにすごいんだろう?

と期待満載。

 

が、なかなかお目当てのゴジラは始まらない。

予告編が次々と紹介され

ドーン、ドカドカ!

と、揺れる椅子に これは もしかして酔うのでは?

と、始まる前に少し心配になるほど。

 

そして、30分以上が経過して

やっと、ゴジラが始まる。

 

ゴジラが 海から現れる最初のシーン、

ザバーン!と水しぶきが上がると

なんと、前の方からミストが出て

えーーー??水??

と思えば、今度は 船上のシーンでは

風が吹いてくる!

ミストと風!!

寒い!!

外は雨で これ以上濡れたくはないのに・・・。

そして、ゴジラの熱線放出の場面では

光線が・・・ま、眩しい!!

と、爆発の場面で椅子は ガガガーーー!と大揺れに。

 

何度も 椅子からずれ落ちそうになり・・・

ちなみに何度目かの揺れのとき

思わず シートベルトを探してしまった。

無かったが・・・。

 

映画を観たというより

遊園地のアトラクションで 遊んだ!

感じかも。

 

さて、肝心の内容だが

ハートウォーミングでかなり評判いいらしい

という触れ込みだったが・・・

 

単なる怪獣映画ではなく

いわゆる日本的な思考を

ちょっと現代風に アレンジして

お砂糖をかけたような・・・。

 

でも、ちょいと疑問が湧いたのは

なぜ、ゴジラは日本を目指して襲ってきたのだろう??

なぜ、東京湾??

 

この辺が ちょっと曖昧。

 

でも、初めての4DXは 刺激的だったなあ。

これ以上 体が弱ったら あの揺れはキツイかも。

そして、

帰ってきてから フィットビットを見たら

なんとゴジラを観て座っていただけなのに

心拍数上がりっぱなし。

笑えた!!

 

ちなみにお値段は

20.50ドル。

スペクトラムでの上映は どうやら昨日まで。

今日からは 別の映画館へ行かないと、やっていない模様。

 

それにしても 
たったの4人の客のために
座席に向かって 
水が出たり 
ビームが照射されたり
シートがガタガタブーブー、ゆさゆさ
と、大サービス。

なんだか申し訳ないような・・・
私が心配することでもないと思うけれど
エネルギーの無駄遣いというか・・・。

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:映画

「ライオンキング」再び

  • 2019.11.08 Friday
  • 04:10
飛行機の中で観た映画の一つ。

CG技術がなんともリアル。
あのライオンキングのリメイク版。

見つけた時、
CGってどうなんだろう?
アニメであれば 動物王国をライオンが治めるという
ちょっと無理な筋書きもまあなんとなくありだけど。。。

CGはリアル過ぎるよね。どうなんだろう?
と思いつつ観ることに。

おばばは どうやら涙腺が緩くなってしまっているらしい。

サークルオブライフに なんだか無性に感動。

王になれずにくさっているスカー(シンバの父ムファサの弟)に
まんまとはめられてしまうシンバは なんとも歯痒いが。。。

ベイビーシンバの仕草がなんともかわいい! 

おばばばかもここまでくるか?

ママライオンに抱っこされている生まれたてのシンバが
まごまごに見えてくる。

挿入歌に感動して なんだか涙が出てくる。
涙が 止まらない。

王ムファサが居なくなりスカーの暴政に荒れていく王国を
守り続ける誇り高きライオネス達、素敵!

助けを求めて王国を出るノラ(シンバの幼なじみ)の勇気に心を打たれる。

オススメです。




シンバ キュート!↓

ナウシカよりハウルかも・・・

  • 2018.08.12 Sunday
  • 06:29

ジブリの「ハウルの動く城」を観た。

何年振りかの何度目かのハウル。

 

観終わって、前より もっとハウルが 好きになった。

ジブリ、とにかくすべて大好き。

(カリフォルニアで細々と営む私立図書館のニックネームを

ととろ図書館と命名しているくらいの宮崎ファン)

 

第一位は なんといってもナウシカで

(30年も前に なんか純粋でけなげなナウシカに心奪われて

しまったのが、始まりで)

次々と作られていく宮崎作品のすべてに魅了されているのだが、

その中でも、ナウシカとトトロは 今まで 常にトップだった。

 

ナウシカ、トトロ、もののけ姫、千と千尋の神隠しというのが

今までの順位だったが・・・。

 

もしかしたら 30年以上不動の地位を誇っていたナウシカより

ハウルが上位に来たかもしれない。

大どんでん返し!

 

今回、何に感動したのか?

 

単純な理由だ。

 

ハウルが公開されたのは、2004年なので

最初に観てから14年になる。

 

14年も経つと自分も年を取るわけで

これまでもそこにあったのに 見えていなかった「老い」が

この作品の伏線となっていることに

やっと気が付いた。

 

主人公ソフィーは 荒れ地の魔女に魔法をかけられて

90歳になってしまう。

突然、90歳になってしまって途方に暮れるソフィーだが

彼女の冒険は そこから始まる。

やぶれかぶれのソフィーばあちゃんは、なんとも魅力的だ。

(が、老人を称賛しているわけでもない)

 

老いるということをもう一度考えさせてくれる作品。

 

同じ作品でも 年代によって

こんなにも感じ方が違ってくるものなんだと

あらためて びっくり!

 

 

 

 

JUGEMテーマ:映画

人生の終わり方

  • 2017.03.30 Thursday
  • 15:10

久しぶりに映画館で映画を見た。


「The Last Word」シャーリーマクレーン主演


Facebookの宣伝で この映画のことを知った。
なかなか良さそう!

観たいと思っていると・・・。

 

なんと映画の招待券(フリーチケット)が2枚 降ってきた。


これも初めての経験なのだが、
トリプルA でかなり待たされた後、係の若い子が
「辛抱強く待ってくれてほんとうにありがとう。
待たせてしまって申し訳なかったから
この映画のチケットをどうぞ!」
と、くれたのだ。


かなり待ったからね。それも文句も言わずに。
ご褒美ってわけね。

映画好きな友人を誘ったら 付き合ってくれるという。

 

で、行ってきた。

 

ちょっとあらすじなど・・・

 

ハリエットは自分の周りをすべて思い通りにコントロールしないと
気が済まないという鼻っ柱の強い女性。
81歳。仕事を引退し、悠々自適の毎日。
裕福で 小奇麗なそこそこ大きな家に何不自由ない一人暮らし。


だが、できる、いや、でき過ぎる女だけに、
暇とエネルギーを持て余している。

 

ある眠れない夜、ワインを飲みながら、睡眠薬を多めに飲んでしまう。


案の定、救急車で運ばれることに・・・。
主治医は 「ひょっとして自殺未遂?」と彼女を疑うが
ハリエットは間違ったのだと言い張る。


いくらコントロールフリークのハリエットだとしても、
人生に自ら終止符を打つのは キリスト教徒の彼女には許されない。

 

その数日後、やっぱり薬瓶を眺めているハリエット。
おもむろに4〜5錠の薬を取り出し・・・


と、ワイングラスを倒して中のワインが机の上にこぼれる。

慌ててこぼれたワインを拭こうとして新聞を取り出す。


そこで、偶然見つけたのが美辞麗句で飾られた知人の新聞死亡広告。

 

それを見たハリエットはあることを思いつく。

新聞社に出かけていき、記事を書いた若い女性記者アンに

自分の新聞死亡記事を書いてほしいと頼む。

生きている間に 死亡記事を書くという奇抜なアイデアに

最初は、面食らうアンだが・・・。

 

ハリエットの記事を書くために彼女のことを調べ始め

ますます面食らうアン。


アンと知り合って ハリエットは変わっていく。

 

ハリエット、何でも自分の思い通りにしたいがために
夫とは離婚、娘とは絶縁状態、友達もいない。


お金はある、仕事にも成功したけれど
孤独でさみしい人生の最期を迎えつつあったハリエットの不安は
若いアンとブレンダによって解消され、幸せなものになっていく。

 

できる女ハリエットの孤独が、
嫌味な老女ハリエットの心の裏側の魅力が
なんだかとっても心にしみる作品。

 

こんな風に人生の幕引きができたら いいなあ。

 

コントロールフリークだって、

嫌味な仕事のできる成功した女だっていいじゃない。

離婚してたって 子供に嫌われてたって

自分を生ききったら こんなに幸せになれるんだ!

人生って素晴らしい!

 



 

JUGEMテーマ:映画

アメリカあるある「ズートピア」

  • 2016.07.17 Sunday
  • 17:41

数週間前の話、日本でディズニーアニメの「ズートピア」が根強い人気で
何週間もの間 映画ランキングの上の方だとニュースでやっていた。

会社などでうまくいかないことがあってくじけてる人も
ズートピアを観ると癒されるからと上司に言われて観に行って
すっかり元気になる人が続出しているという話だった。

そこまで言わせるってどんな映画なんだろう?と興味津々。
そしたら、その話題作を 飛行機の中で 観ることができた。

主人公はウサギのジュディー。警察官を目指して一生懸命警察学校で勉強している。
彼女の夢は立派な警察官になりズートピアの治安を守ること。

ズートピアというのは 肉食獣も草食獣も、大きくて強い動物も小さな弱い動物も
理想的な形で棲みわけされていて 皆が無理なく共存している夢の大都会だ。

まるで世界中からさまざまなひとが集まって 世界の中心をなす街、ニューヨークのよう。

夢見るジュディーに周りの大人たちは 言う。
ウサギのような非力な小動物は たとえどんなに努力しても警官として採用されるはずがないと。

が、予想に反して 彼女はズートピア初のウサギ警官として抜擢される。
ジュディーは 故郷を後にズートピアへと旅立つ。
自分の大きな夢に向かって大きく飛び立って行くジュディー。

が、現実はそんなに甘くない。

ズートピアは動物たちが夢見る大都会だが そこには犯罪も危険もいっぱい。
そこで治安を守るのは大型で腕っ節も確かなサイ、水牛などの大きな動物たち。

小さくて見るからに頼りない彼女に与えられた最初の仕事は駐車違反の切符切り。
「駐禁の取り締まり?」と落胆する彼女だが 気を取り直して与えられた仕事に
励む。。。
そして、次の仕事は行方不明のイタチの捜索だった。
誰もがただの失踪事件だと思っていたが その裏には大きくて邪悪な犯罪が潜んでいた。

物語は 失踪者を探すジュディーと詐欺師の赤狐ニックとの絶妙な絡みで 思わぬ方向へと進んで行く。

ズートピアに登場するキャラクターたちが まさにアメリカ社会の縮図のようで興味深い。

赤狐は どうせずる賢いに違いないという動物たちの思い込みが 差別を生み 幼い頃のニックを傷つける。

ナマケモノが努める陸運局のお役人は仕事が超遅い。これはどこかで見たかも。。。と思わず笑えるアメリカあるあるな情景。
ひ弱な羊のドーン副市長に威張り散らすライオンのレオドア市長も権力を笠に着る誰かかも。。。

などなど ズートピア=アメリカ社会あるある。

アメリカ社会を皮肉っていながら
でも「信じることが理想郷の実現には大事なんだ」って教えてくれる。

最後の場面は、スポーツカーをぶっ飛ばすスピード狂を逮捕してみると
なんとそれはxxx(これは秘密)だった。
最後にぷっと吹き出しちゃう ハッピーエンド。

Mitsukoのお勧め度 五つ星。
観てね。







Sent from my iPad

天心(真のグローバル化)

  • 2014.06.11 Wednesday
  • 15:33

先月、ロスとオレンジカウンティー、サンディエゴで

日本映画祭が開催され、その中のひとつ「天心」を見に行った。

 

時代は、明治初期、日本画の新たなる道を目指して

岡倉天心に師事した弟子たちの気迫ある修行時代を描いた映画だ。

天心自身は画家などではなく 日本画壇の創設者であり

ボストン美術館の日本美術関係顧問であり、英語で「茶の本」他を執筆した。

映画では 天心が 東京開成学校(後の東大)講師、アーネスト・フェノローサ

とともに 日本美術を守ることに力を尽くし、日本美術学校を創設するが

騒動に巻き込まれ35歳でそこを追われた後、彼を慕う弟子たちとともに

芸術の聖地とした茨城県五浦に六角堂を建て、

そこで過ごした弟子たちの過酷な修行の日々を追う。

鬼気迫るその厳しさの中から 後の日本画の巨匠、横山大観、菱田春草などが

生まれていく。

 

その厳しさは、まさに 芸術も武士道から。

そして、すごいねえ、天心。英語で本を書くなんて

あの時代の人たちって どうしてそんなすごいんだろう??

英語で論文も書けるような人が もっとも日本的な日本の美術を

守っていくことに命を懸けた。なんとも深い感動がある。

 

日本の文化ってすばらしいな。

真のグローバル化とは、天心のように、自国の文化に誇りを持った人によって

成し遂げられるのだろう。

生半可はいけない。


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近代史をもっと知りたい

  • 2013.05.22 Wednesday
  • 15:44
 映画「この空の花」長岡花火物語を見た。

 

先週末は、日本映画祭だった。

近所で日本映画が観られるのは このときだけ。

年に一度のことなので 毎年とても楽しみにしている。

 

今回は、タイトルと短い紹介文を見て

長岡花火物語という副題の付いた「この空の花」を

見ることにした。

綺麗な花火のお話だと勝手に思い込んでいた。

 

が、蓋を開けてみると、花火の話には違いなかったが

ほとんどは 戦争の話だった。

 

新潟県の長岡市が 原爆投下予定地で

長崎に投下されたファットマンという名の空の爆弾が

練習のために落とされたとき、その衝撃で大きなクレーターが

でき、亡くなった方々がいたことや 

長岡には、実際の原爆は落とされなかったけれど 

空襲はすごかったということや 

焼夷弾というものがどんなもので どんな威力があったのかも

映像を見て初めて知った。

焼夷弾という名前は知っていたけれど

その威力がどれほどのものなのかは まったく知らなかった。

 

映画が進んでいくうちに、長岡花火というのは、

2次大戦末期の長岡空襲で亡くなった市民の霊に

ささげられる目的で始まったのだと分った。

 

不思議な映画だった。まるで舞台演劇のような映画だった。

直接的な戦争映画ではないのに 戦争映画よりも怖かった。

戦争映画ではないのに、文字でだけ知っている戦争を

擬似体験したような気がする。

 

無知だなあ。私。

何にも知らない。

日本の近代史を。

 

そういえば、大阪の橋元市長が 慰安婦について

えらく不適切な発言をしたと問題になっているが

慰安婦についてだって 歴史に出てこない。

(少なくとも 私は学校で習った覚えが無い)


日本人は、学校で 近代史をもっと勉強するべきだ。

 

アメリカには 200年余の歴史しかなく

そのほとんどが近代史で 近代史をいやというほど

勉強できるのが うらやましく感じる。

それに引き換え、日本は、あまりにも 歴史がありすぎて 

近代史が おざなりになっているように思う。

 

どうして第二次大戦に突入してしまったのかなど

知りたいことがいっぱいあることを改めて

この映画を見ながら思った。


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ハリポタの怪

  • 2013.02.17 Sunday
  • 23:56
今夜は娘とムービーナイト。

彼女が 「ハリポタの続きをみようよ」というので
ハリポタシリーズ「ハーフブラッドプリンス」のDVDを見た。

映画のシリーズもので 私の唯一の自慢はハリポタかもしれない。

このシリーズすべてをもれなく映画館に行って見た。
映画以前に 本も発売を待って全て 原書で読んだ。

ハリポタは、まさに私にとって アメリカ生活の歴史の
1ページを 飾るものと言える。
最初の頃、ハリポタのオーディオブックは私の英語の教科書だった。


最後の方は 辞書を引きながら 読んだ。
好きだからできた。


映画の第一作放映は2001年、12年前だ。
映像でハリポタが見られると知った時 どんなに興奮したか!
忘れられない。
最初から 何も分からない末娘を連れて行った。
小さい子には面白いはずもなくかなり怖かったらしい。

3作目くらいまでは 私が彼女を連れて行ったが
その後いつ頃からか定かでないが 立場が
反対になった気がする。

そのうちに 娘が封切りは「いついつだよ」と
教えてくれるようになった。

今日もムービーナイトだと彼女の提案で
ハーフブラッドプリンスを見たのだが
見てみると 細かいところまで覚えていない。

えーー?そんなあ!
大好きなハリポタ、何で覚えてないの?

これは実は 何作目を見ても同じ症状で
自分でも不思議で仕方がなかった。

何故?

この間から シリーズを見直していてずっとそのことが
心に引っかかっていた。

で、やっと思いついたのだが、
「私は映画を見ながら 自分のイメージの世界を見ていたのかも・・・」
と。

だいたいキャプション(字幕)がないと
イギリス英語で 普段聞いているアメリカ英語違うので
とっても分かりにくい。ゆっくりしゃべってくれるわけじゃないし・・・。

だから、映画を見た時、本を読んでいたから内容が分かっただけで
聞き取れているわけではなかったのだ。

本を読んですっかりイメージを作っていた私は 映画を
自分のイマジネーションにすり合わせて見ていたにちがいない。
だから、自分のイメージと違うところを覚えていないのかもしれない。
覚えている場所は、全くストーリーに忠実な箇所ばかり。

そういうわけだったのかあ。
あー、きっとそうだ。
やっと長年の疑問から解放された。
目から鱗。

人間の能力って、不思議。

それとも私って ただのボケ?






映画「のぼうの城」

  • 2012.12.19 Wednesday
  • 11:34
 映画「のぼうの城」を見た。


でくのぼうを短くして のぼうさまと呼ばれるめちゃ頼りない城主をいただく

関東軍の小さなお城。軍勢二千あまり。

全国制覇を目前とした秀吉の軍勢、二万の大群に対して 降参しなかったばかりか

水攻めされても 落城せず 持ちこたえた。史実に基づいて 脚色された映画だ。

 

最近の日本映画は面白いね。

 

頼りなくてのんびりで まったく城主らしくないお殿様 成田長親、

通称のぼう様、それを支える屈強な家来たち。関東武士は 荒々しくて 素朴。

 

圧倒的な秀吉軍に 怖気て 戦う気など無かったのに 無謀にも武士として

奮起してしまう頼りない城主、のぼう様。

秀吉軍の長束正家の横柄な態度と甲斐姫を秀吉に差し出せと言われたことで 

武将としてのスイッチが入ってしまう。

 

のぼう様の気概に触れて 絶対に敵わないと分っているのに 戦う家来たち。

そして、のぼう様を 慕うお百姓さんたちが また 泣かせるんだな。これが。

 

戦国映画というと大将は 勇敢で 自ら先陣を切り 颯爽と軍勢を率いるものだけれど

のぼう様は?・・・違う。

ぜんぜん殿様らしくない。偉そうでもないし 強くも無い。でも、領民に

慕われている。やさしい殿様だ。決断力も無い。

しかし、そのやさしさが 強さだって事を自ら知っている。

 

領民の心をがっちりつかんで、彼らを味方につけているお殿様は 強かった。

水攻めにあって あわや落城か?と思われたとき、自ら 敵の目の前に

進み出て「田楽踊り」。敵と見方の心をもがっちり自分のものにしてしまう

というしたたかさ。

ただのでくのぼうでは無かったわけで。

 

北条氏の秀吉への降伏で戦いは 終わるが 

長親は最後まで城を明け渡さなかった。

〜〜〜〜

 

なんとも不思議な武勇伝だ。

ひょろひょろしていて、よろよろしていて まったく男らしくなくて

ひ弱なお殿様が 主役になるって 今の日本を象徴している。

本当の男らしさは 強さにあるのではないってことかな?

 

アメリカの男性像は 圧倒的な マッチョ(筋肉?)が基本。

立て続けに スパイ映画「ボーンレガシー」と「007スカイホール」を

見たので ますますその違いに唖然。

弱々しい男なんて ゲイか?と思われるのに対して 

そんなものが無くても 知性と人柄が 強さになる日本。

違うなあ。

 

ちなみに、戦国映画だから かなりむごたらしい殺戮の場面があるので

お子様には 要注意。


勇敢な槍の名手が 敵と会いまみれて 相手の大将の首が スコーンと

飛んでしまう。

うっ・・・むごい。見ていられない。この場面が一番、ショックだった。

もののけ姫にも同じような場面が あったけど あれは アニメで現実味が

薄かったのだけれど。


そして、田楽踊りも大人向けね。


お勧め度 ★4つ(80〜90点)


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