携帯が鳴った。
「もしもし」
「助けてーー!」
Hさんだった。
超大型ハリケーンサンディーに直撃された
アメリカ東海岸ニュージャージーからだ。
先月、あちらに引っ越した娘さん家族を
3週間前に尋ねていって 今回の被害に遭遇。
電気の無い生活が 一週間続いているそうだ。
H、「寒いし、真っ暗だし・・・死にそう」
と、半分 お茶目に冗談めかしているけど本心は・・・。
M、「無事でよかったですね。ハリケーンが原因の死亡者は
55人(10月31日時点で)ですって」
注)現在は100人を超えた死亡者が出ている模様
H、「へー、ニュースも何も入ってこないから ぜんぜん知らなかった。
その死亡者の数が 明日はもっと増えて その中に自分も入ると思う」
なんて、また冗談を言う。
M、「そんな気の弱いことを言わないでくださいよ」
と、私。「乾電池が無い」というHさんに
M.「こちらから送りましょうか?」というと
H、「飛行機が飛ばないから 送ってもらっても届かないと思う」
それもそうだなと私。
M、「オバマさんが 選挙戦の真っ只中だけど 被害の対策に
当たるために 急遽予定を変更したって言っていましたよ」
H、「そうなの?早く助けに来て欲しいよ。電気がないから
暖房が効かなくて寒くてたまらないの。
ガスと水はかろうじて大丈夫だから
水を沸かして 温まっているんだよ。本当に死んじゃうかも・・・」
ニュージャージーは 寒いところだから さぞかし寒いだろうなあ。
反して、その日の南カリフォルニアは 日中の気温が25度以上あり
汗をかいている状態。片や、寒いところで 停電して
復旧のめども立たないという被害にあっているHさんたち。
電話の向こうに このカリフォルニアの
太陽が届けられるといいのに と、思った。
ドラえもんのどこでもドアがあればなあ。
何もできないとわかり、とても申し訳ない気分になる。
その2日後、Hさんに電話した。
H、「携帯電話の乾電池で充電する装置を
送って欲しい」という。
早速 近所の電気製品量販店に行った。
が、そんなものはおいてないといわれた。
携帯電話屋にも探しに行った。
すると、
「どんな機種の充電器が欲しいの?」
とお店に人に聞かれた。しかし、他人の携帯の機種など知るはずも無い。
そういえば Iフォンを持っていたなと思い出し、
「Iフォン用は無いか?」とたずねると
「Iフォンは、差込口からしか充電できない」
と お店の人に言われ すごすごと退散した。
彼らだけでなく 知人や友人の子供たちが
ニューヨーク地域の大学に行っている。
一人の友達の息子は ニューヨーク在住。
今回の避難指定地域に 住んでいるため避難命令が出て
避難中だというし もう一人の友人の娘は、
食べ物が無くてお腹が空いて 冗談で
「おいしそうな友達のももを食べたくなったほどだ」
って、言ったとか言わなかったとか。
日を追うごとに 徐々に復旧は進んでいるようだが
まだまだかかりそうだ。
(今夜までに マンハッタンの電力は 戻ったそうだ)
不幸中の幸いというのか、Hさんの娘さんのご家族は
おじいさんとおばあさんという応援隊がいてくれて
たいそう心強かったことだろう。
そして、もうひとつ、思いがけず 家に閉じ込められ
そのおかげで 幼稚園に通っている孫たちと
ずっと一緒に過ごせたとも 言っていた。
Hさんたち、本当はもう帰ってきているはずなのだが、
来週水曜日にやっと帰りの飛行機が取れたようだ。
何はともあれ こちらに帰ってくれば 電気はあるよ。
天災はいつ何時降りかかってくるか分らない。
心しておかないといけないと今回のことで改めて思った。