屋久島流、晴耕雨読

  • 2017.04.17 Monday
  • 13:38
「屋久島発、晴耕雨読」長井三郎著

時には同じものを読んで 「面白い」と気があうこともあるらしい。

おっとっとが 屋久島の北のほうにあるコーヒー屋さんで見つけたという
この本、甘っちょろい私の屋久島愛を 蹴散らして 粉々に砕いてしまう。

著者 長井三郎さんは 屋久島生まれ 屋久島育ち、早稲田大学卒。屋久島在住。
1951年生まれというから 少しお兄さんだが 似たような年だ。

日本国という同じ国で 同時期に 子供時代を過ごして来たはずなのに
本の中の長井三郎さんの子供時代は 私のそれとは似て非なるものだ。
牧歌的で懐かしいものだけれども 一方で もっともっと 壮絶というべきか?
高校生の頃にやったという土葬されたお墓を掘り返すアルバイトのお話など
びっくりを通り越して腰が抜けてしまいそうだ。

そんなこんながあって、今この瞬間、屋久島が未だに持ち続けている良いところは
私たちが 利便性を追求し 時間と共に 失ってしまった何かだということを 切々と教えてくれる。

読みながら
「お前たちには屋久島の良さなど 分かるはずがない。
そんな薄っぺらな気持ちでここに来るんじゃない」
と 痛烈に怒られ 謗られ 責められているような気がする。

「もっと謙虚な気持ちで生きろ!」

今日も 屋久島は 荒れている。

風の音と絶え間ない潮騒、山から流れ出る水の音、風に擦れる木々のざわめきの中で。。。


「九十歳。何がめでたい」佐藤愛子著

  • 2017.04.10 Monday
  • 20:52
「面白いらしいよ」と母。

母は 去年 圧迫骨折と腸閉塞で半年近く入院、年が変わり やっと家に戻ってきた。

その母の様子を覗きに 実家に戻った時の会話だ。

へえ。佐藤愛子?最近 読んでいないなあ。

学生時代、愛子さんのエッセイ、大好きだった。よく読んだ。
結婚してからも その軽快さや豪快な語り口が好きだった。

が、ある時気付いた。

「なんだかなあ。男尊女卑のような。。。前時代的だし。。。非合理的だし。。。 あまりにも潔(いさぎよ)すぎて 損だよなあ」
と思うようになり 好きでなくなった。

それからしばらく愛子さんの書くものとはご無沙汰だった。

それにしても、愛子さんらしいタイトルだなあ。

「読みたい?」
と母に聞くと
「お腹を抱えて笑いました とか評判らしいよ」
と読みたそう。

で、さっそく注文して 読み始める。

「こみ上げる憤怒の孤独」から愛子節炸裂。
29個のエッセイ。
何を読んでも 必ずどこかで 笑える。

愛子さん、九十歳をすぎてますます血気盛ん。怒っていらっしゃる。
懐かしいわあ。この感じ。

細川ガラシャ夫人 三浦綾子著

  • 2016.11.29 Tuesday
  • 20:59
先日、同三浦綾子氏の「千利休とその妻たち」を読んで
深い感銘を受けた。その続きのような気分で これも読み始めた。

細川ガラシャについての知識といえば 利休と同じ時期、戦国時代を生きた人物、
キリスト教徒として 非業の死を遂げたと言うことぐらいで それ以上の知識はなかった。

ガラシャは洗礼名。名は玉子。


物語は、玉子の両親 明智光秀とその妻煕子の結婚から始まる。
父光秀と母煕子は その時代には珍しい 仲睦まじい夫婦であった。
そんな彼らに慈しみ育てられた玉子は 幼い時から美しく聡明であった。

いかに光秀が優れた武将であったかが語られる。
その娘と生まれた玉子は美しく聡明にすくすくと育っていく。
細川家は明智家とは盟友で 共に織田信長に使えていた。
信長の命により忠興と玉子、二人の結婚は決まる。
嫁いだ後に悲劇は起こる。

物語は明智光秀が なぜ主君の信長を倒さずにいられなくなっていったか?
光秀は主君信長を倒した極悪非道の悪臣として世に知られているが本当は?
戦国時代の複雑な領主同士の力関係、人間模様を詳細に語っていく。

光秀の三日天下。秀吉の活躍で 光秀は直ぐに 敗れた。
結果は無惨であったから 破滅に向かうその辺りを読んでいくのは辛すぎて
時間がかかった。

玉子は光秀の娘、殺されてしかるべきだったが
忠興の玉子に対する執着が彼女の命を救う。
が彼女は、夫と子供たちと離れ 人里離れた山の中に
数年間 隠れ住まなくてはならなかった。

戦国時代の女たちが いかに 男たちの戦争の道具として扱われ
心など無いもののように扱われたか?
絶望と寂しさと 思うようにならない生き方を強いられ
簡単に命を奪われ。。。

そんな中で 玉子が だんだんとキリスト教に救いを求めていき
時代の波にもまれて果てるその時
彼女は信仰ゆえに 静かに終わりを迎える。

信長、秀吉、家康以外の 中小の大名たちの物語。
華々しく歴史に名を残さなかった逆臣 明智光秀を別の観点から見ていて面白い。


容疑者Xの献身 東野圭吾著

  • 2016.11.14 Monday
  • 11:11
容疑者Xの献身 東野圭吾著

タイトルを見て すぐに福山雅治扮する天才物理学者の顔が浮かんだ。
「ガリレオ」とかいう探偵ドラマがあったような、
なんだか見たことあるような。。。
でもどんな物語だったっけ???

ーーーー
うだつの上がらない醜男、高校の数学教師石神の並々ならぬ洞察力を
垣間見せる描写から 物語は始まる。

無骨な石神は密かに弁当屋で働く靖子に好意を寄せているが、
彼らはアパートの隣同志という間柄で それ以上の関係はない。

ある日、事件は起きる。
靖子と娘の美里親子をつけまわす靖子の別れた夫、
冨樫に暴力を振るわれて 娘と母親は 冨樫を殺してしまう。
自首しようとする靖子をためらわせたのは 娘美里の事件への関与と
娘を殺人者の家族にしてしまっていいのか?という迷い。

その二人に 死体の後始末とアリバイ工作を申し出る石神。

彼の天才的な頭脳は 親子を守るために 鉄壁の作戦を考える。

石神の作戦通り 刑事の追求は 微妙なところで 真実からズレて行く。

が、湯川教授登場!

石神の頭脳対湯川のそれとの対決が始まる。

物語の結末は 思いもかけない方向へ。
石神の靖子親子への壮絶なまでの献身に 唖然とさせられる。

小気味良い湯川教授の洞察力と彼と同程度かそれ以上の石神の戦い。
真実を知った湯川の 友人石神への友情。

引き込まれてどんどん読んでしまった。

福山雅治ファンには小気味良い作品。


「千利休とその妻たち 」 三浦綾子著

  • 2016.11.11 Friday
  • 15:23
千利休とその妻たち 三浦綾子著

なになに?
「利休とその妻<たち>」?
利休に何人も奥さんがいたの?
と、
その題名に惹かれて 読み始めた。

利休といえば 界の豪商、茶を点てて秀吉に使え、茶道具に値をつけ。。。
しかし、その奥さんがどんな人だったかなど 全く知らない。

「高いものが良いものだ」という日本人特有の価値感の基礎を作ったのが
千利休だという説があると 何年か前の勉強会で 学んだが。。。

読み始た時、主人公 千宗易(後の利休)は 今年(2016年)の大河ドラマ 真田丸に出て来た利休
=桂文枝(三枝)師匠が浮かんで来て 困惑気味。

というのも、物語の中の宗易は ずいぶん若く28歳。
茶の道を極めるため 彼が 能を習いに行くところから始まる。

そこで おりきという女性と運命の出会いをする。

能を習い、座禅を組み。。。
如何に茶の道を極めるかの毎日。
「詫び、寂び」とは?

どうやって宗易が その道の達人となり 信長、秀吉に取り立てられていくか?
客をもてなす茶の心とは?

読みながら茶道を学び、疑似体験するような気になる。

しばらくして 宗易と桂文枝師匠がダブることはなくなり ホッとする。

宗易には美人の妻 稲がいるのだが 二人の価値観は違いすぎている。
稲は、武士の妾腹の娘、茶人としての宗易を尊敬するどころか蔑んでいる。

物語は 下克上の武士社会と界の商人たちの世界の人間関係を
複雑に絡み合わせながら進んでいく。
慌ただしい世情にありながら常に茶道に精進する宗易がなんとも凛々しく。。。
一方、おりきとの恋は切なく。。。

後半は、秀吉の寵愛を受けて 絶頂期を迎えるが
三浦綾子の利休は 茶人として精進を忘れない清い利休を描いていく。

彼をサポートするおりきがそこにいる。
妻お稲 病死の後 おりきと宗易は夫婦になる。

そして、非業の死。
彼は、最後まで茶人としての一生を全うするが、その覚悟を支えたのは。。。

----

三浦綾子の作品を初めて読んだかもしれない。
もしかしたら、なにか読んだことがあるかもしれないが
多分宗教色が強すぎて最後まで読んでいないかもしれない。

これは、文句なし面白かった。
素人に茶道の入り口を垣間見せてくれる気がする。
茶道と日本文化について 考えさせられる作品。

お勧めです。

「後妻業」 黒川博行著

  • 2016.11.01 Tuesday
  • 09:39
「後妻業」黒川博行著

病棟の小さな図書コーナーで 話題の本を発見。「後妻業」

夏に映画化されて 話題になった「後妻業の女」の原本だとすぐにわかった。カバーもご丁寧に映画の配役の顔入りで二重になっている。
映画の前宣伝では、大竹しのぶが後妻業のエース、豊川悦司が結婚相談所所長という配役で なかなか面白そうだった。

暇潰しになるだろうと借りて読み始めた。

えぐい。

えぐすぎて なかなか読み進めない。

映画を見た人が 「コメディー仕立てで面白かった」と言ったけど 原作は これでもかこれでもかと醜い人間の欲望を形にしていく。

普段ならこの時点で 本を放り出すところだが。。。

何せ病院ぐらし 時間はいっぱいある。毎日、チョットずつ読み進む。少しずつ進み。。。

少し前に進むと 推理小説というか探偵小説のような運びになり 軽快に物語が進み始める。
悪者二人、後妻業の女と結婚相談所所長の悪行が 元マル暴の警官だったという興信所の悪徳探偵によって 暴かれていく。

この辺りから 一気に読んだ。

悪は 正義に駆逐されるのだろうか?

しかし この物語 悪ははっきりしているが 正義は振りかざされていない。

結末は どんでん返し。

面白かった。

お勧めです。



「幸せはあなたの心が決める」

  • 2016.03.01 Tuesday
  • 15:56
著者は、渡辺和子さん、 御年88歳、
 小柄なシスターで、ノートルダム清心学園理事長先生だ。 
スマップと一緒に2015年の年末にバラエティ番組に出ていた。 

 日本ではかなり話題になっていたようだが、 
カリフォルニアでのほほんと暮らしている私は、 
その時初めて 彼女が「置かれた場所で咲きなさい」という
 大変話題になっている本の著者であると知った。
 
柔和なお顔をされているが、
番組の中で、目の前で父親を暗殺されるという
 恐ろしい出来事を子供時代に経験し、
昭和の時代を生き抜き  仕事もバリバリとこなし、
その後、修道女となられて つらい修行時代を経て、
 修道院から任命され 女子大の学長を長く勤めて  
今なお理事長として学生たちを導いていると紹介されていた。 

「置かれた場所で咲きなさい」というベストセラー本は、 
彼女の豊富な経験に基づいて書かれたものだという。

 この同じ著者による「幸せはあなたの心が決める」と 
私が出会ったのは ひと月ほど前だった。 
 ちょっと落ち込んでいた私は、 心が高揚するような本を探して 
本屋さんをぶらぶらしていた。
 と目についたのが「幸せはあなたの心が決める」というタイトル。 
そのタイトルを見たとき、私は思った。
 「まったくその通りだね。簡単なことだ。不幸は誰のせいでもなく  
 自分の心の持ち方にある。そんなの分かっているよ。 
気の持ちようでしょ。でも、分かっていてもできないから
 悩むわけで、弱い自分とどう向き合うかが問題なのよ。
 死ぬまで、課題でしょう」 と、その本のタイトルに
いちゃもんをつけながらも 本をパラパラとめくって
どうしようかと迷ったあげくに 
 やっぱり読んでみようと思い 買った。

 天邪鬼な私は、こんなありきたりのタイトルの本に 
めったに魅了されることはない。
どちらかといえば、 わざと避けるのだが、
もう一度 わかりきったことでも 確認してみようかなと思った。

 読み進むと、「雑用に祈りを込めて」という項目があった。
 がーーんとやられた。目から鱗が落ちるというけれど まさにそれ。 
「世の中につまらない仕事や雑用はない。
人間が用を雑にしている時、 それは生まれる」
 つまり 何事も心を込めてやれば つまらない仕事は無くなるという。 
 衝撃が走った。ガラガラ!ドッバーン!
 これは 真っ暗闇でもがいていた私が  
 光の当たる場所に再び舞い戻った瞬間だった。 
「主婦業うん十年、子供は巣立って行き  空の巣になった家で、
 なぜ私は 毎日毎日 単調な家事に縛られているんだろう?
これでいいのか?」
 惨めだった。 
 でも 、もしかして・・・ 
 その自分を惨めにしているのは まぎれもなく自分?? 

その時の私は、不満たらたらで 力が出なかった。 
基本、お料理も洗濯も掃除も嫌いじゃないけど 
 でも それをすることに目的を感じられなくなっていた。
 「私は 無給の家政婦じゃない!」と 一人いきり立っていた。
 が、この一言が、長年の呪縛から私を自由にしてくれた。

 なんだかエールをもらったような気分。
 これからは、掃除、洗濯、料理、何事にも心を込めてできそうだ。
 すっかりご機嫌になり前よりも丁寧に家事ができるようになった。 
なんて単純なの、私って!

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お茶づけ女とステーキ男 あや著

  • 2015.07.08 Wednesday
  • 14:28
 「お茶づけ女とステーキ男」あや著

 

あらすじ__

アメリカ男性と結婚した日本生まれ 日本育ちの日本人あや、

彼女と夫は 日本で知り合った。

たちまち 彼のとりこになってしまったあやだった。

結婚を決意したのも 直感だった。


が、その後、夫とは いろいろな面ですれ違っていく、

挙句の果ては、夫からドメスティックバイオレンスを受けるようになる。

離婚をしたいと思い始めても なかなか決心のつかなかったあやを 

離婚へと後押ししたのは 結婚生活に悩むあやを

カウンセリングしてくれたドクターの言葉と

同時期に教会で聞いた「Act on it!(行動せよ)」という

聖書の言葉だった。

 

離婚を決意し、子供2人とともに ドイツ駐在の夫の下を去り

アメリカカリフォルニアで離婚の申し立てをするあや。

離婚の申し立ては 夫の同意を得られず 訴訟に発展。

 

あるときは、友人の助けを借り あるときは 自らの直感に 

導かれ 次々と襲ってくるさまざまな苦難を乗り越えていくあや。

 

10年という長期間に渡った離婚訴訟はアメリカの社会を映し出す。

アメリカという異文化の中で 自称お茶づけ女あや(日本人女性)が

ステーキ男である夫、つまり、異文化アメリカ社会を敵に回しつつ

見事に戦い抜き 自我を確立していく。

 

・・・という物語。


実話を基にしているので 臨場感が半端でない。

疑い深くなっていた夫とのドイツでの生活を棄て、

子供を連れてカリフォルニアに逃げるというエピソードから

物語は 始まるのだが 最初から はらはらどきどき。

読み始めたら 先が気になるので 止まらなくなり 

結局一晩で 読み終えた。

 

あやは強い人だった。スーパーウーマンだ。

自分と比べること自体間違っているが

同じ日本人、同じくアメリカという社会で暮らすという

共通点はあるにはあるが・・・

ちびっとはまねしてみようかと思うけれど

ふにゃふにゃの自分とは かけ離れすぎていて・・・。

凄過ぎる。


離婚裁判のくだりは アメリカ社会の現実がそこにあると

実感した。


 

ととろ図書館で貸し出し中

http://totorolibrary.jugem.jp/


JUGEMテーマ:読書

恋とはかくも・・・「白蓮れんれん」 林真理子著

  • 2014.12.02 Tuesday
  • 09:03


遅ればせながら 読みたかったこの一冊を読んだ。
「まっさん」の前の「花子とアン」で話題になった蓮様の生々しいドラマを
つづったこの本、朝ドラでは 出てこなかった本当のお姫様の全貌が
読み進むうちに あらわになる。
 
それにしても、毎回思うのだが、NHKの朝ドラは そのシリーズが終わると
まったく昔のことのような気がするのは なぜだろう?
人の心は 新しいシリーズへとすぐに移ってしまい 
余韻も何も一瞬のうちに忘れられて記憶にも残らない。
あわただしい現代と言う時代がそうさせるのか?
テレビのみならず ネットという架空の世界にどれほどの信憑性があるのかと
問いかけながら それに頼って生きざるを得ない毎日の自分も
まったくその例に漏れない。
 
でも、この本に関しては しつこく読みたいという思いを持ち続けた。
 
そうそう、ネットといえば、古き良き時代の情報伝達といえば、手紙。
筑紫の炭鉱王から、白蓮を略奪する若き弁護士龍之介だが、
その二人の愛をつないだものは 熱烈なラブレターの数々。
彼ら二人が出会って 二人で生きて行くと決心してからのストーリーを
つむいで行くのは、二人の間に交わされた手紙の形で進んで行く。
ときに余りにも素直で、なんだか読んでいて 赤面してしまうほど。
 
恋は 彼らの時代のほうが 今よりずっと濃密だったのか?
 
そういえば、静岡のデパートでやっていた「赤毛のアン展」を
覗いたときにも、村岡氏と花子の間に交わされたラブレターが
展示してあった。
ちょこっと見ただけだけれど かなり情熱的なものだった。
愛とは 元来そのようなものであったかと驚いた私。
 
「白蓮れんれん」はととろ図書館で貸し出します。


JUGEMテーマ:読書

白洲次郎占領を背負った男 北康利著

  • 2014.06.02 Monday
  • 15:59

「占領を背負った男」このタイトルに釘付けになった。

白洲次郎・・・マッカーサー元帥と対等にやりあった人物ということで

前に読んだ「父吉田茂」麻生和子著のなかにも登場していた。

http://americajijo.jugem.jp/?eid=817

面白そうなので 早速読み始めた。

 

戦後生まれ、日本中がアメリカに対する憧れでいっぱいの時代、
つまり、
この本の中にも書かれているが マッカーサーによって

日本が骨抜きにされた後に、私は、成長した。

日本が、第二次大戦に負けたことは もちろん知っている。

しかし、それを問題視して ことさら考えたことはない。

戦争に負けた後、何年もアメリカに占領されていたなど

学校の歴史の授業には 出てこなかった。

まさに、マッカーサー元帥の思惑通りの日本で育った。

 

親しくさせていただいている大先輩が、

「昭和20年に日本は終戦を迎えたのではない。昭和20年は 日本が敗戦した年、

終戦は、その後、GHQが日本を去ったときです。間違えないで」

と、こだわっているのが 聞こえてきても ついこの間まで

その本当の意味を 考えてみることは、無かった。

私の中では、昭和20815日は、
途方もない犠牲者を生んだとん
でもない戦争が終わっためでたい日、
「終戦記念日」だと素直に信じていた。
テレビのニュースなどでも普通に「終戦記念日」だと表現しているので
そう思うのが自然だった。
「日本が敗戦した日」などという惨めな概念はこれっぽっちもなかった。


しかし、本当は その日、日本は戦争に負けて

マッカーサーが率いるアメリカ占領軍(GHQ)による統治の6年間を経て 

昭和269月サンフランシスコ講和条約が締結され、

アメリカの統治から開放されて 終戦を迎えた。
それが 本当の終戦だと大先輩はいう。

 

この本では、敗戦直後のみじめだった日本に誇りを残すべく
占領軍に体当たりした白洲次郎の人となり、

つまり、その恵まれた生い立ちとその経験により

日本を守るべく 鬼と恐れられたマッカーサーにただ一人で立ち向かった様子、

圧倒的な権力にしゃにむに食らいついて 鬼と恐れられたマッカーサーをして
「難しい日本人が一人いる」と言わしめた彼の心意気を通して 

昭和史の一面をうかがい知ることができる。

圧巻だったのは、
日本の負けが明白になったその直前に
連合軍に
参戦したソビエト連邦が 戦勝国の一員として、
日本の戦後処理に 
首を突っ込もうとしていたとき、
それを阻止しようと
アメリカ側は、日本に対して 
一刻も早く憲法に基づいて戦争を
放棄させようと 
一方的に彼らが作り上げた日本国憲法を 
押し付けてくる場面だ。


独自に憲法を作りたいとあの手この手を尽くす日本側(次郎と憲法制定委員たち)と
あくまでもソビエトの介入を回避したい
GHQ民生局との攻防は

読みながら どきどきし もう終わってしまった歴史であるにもかかわらず

手に汗握る迫力だ。
(ちなみに、アメリカが作った憲法を日本に押し付けるなど
国際法違反ともいえる行為だ)

 

吉田首相の片腕としてあれやこれやと骨を折り 白洲次郎は 
戦後の日本のあり方に多大な貢献をした。
にもかかわらず
 彼は 権力に興味が無く 
何の功名も求めなかったから

彼の名前が日本で取り上げられるようになったのは 

かなり最近のことのようだ。

ちなみに、この本の初版は2005年。

20099月にNHKドラマスペシャルで「白洲次郎」が

ドラマ化され3回で放送されている。

 

このドラマ、見たかったな。

こんな風に昭和史を知っていくのも 面白い。

この本は、↓トトロ図書館で貸し出し中。

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